【珍書:其の7 『機巧図彙』】

2004-09-26

今回ご紹介する珍書は、江戸時代のメカフェチ
『機巧図彙』(江戸科学古典叢書・1976年複製)(底本:細川頼直・寛政8年(1796))です。
ちなみに、「からくりずい」と読みます。


 書名から分かるように、この書物は、からくり人形の図面集です。
 数年前から大ブームを巻き起こしている『学研 大人の科学シリーズ』。これの『大江戸からくり人形』は、この『機巧図彙』を元にして復刻されています。
 どーでも良いですが、最近の学研は『大人の科学マガジン』などという、購買意欲を掻き立てる本まで出してきやがりましたね。心をピンポイントで突いてきます。財布の紐がゆるゆるだよ。(買ってないけどね)
 話を元に戻します。
 学研のHPに『機巧図彙』の説明が載ってあったので、下に転載してみます。
「現存する唯一のからくり人形指南書にして日本最古の機械工学書「機巧図彙」。
作者は土佐にこの人ありと言われた「からくり半蔵」こと細川半蔵頼直でした。
機巧図彙には,当時秘伝とも言えるからくり製作のノウハウが詳細に記述されています。
「茶運び人形」以外にもいろいろなからくりの設計図、製作の手順が載っており、
多くの図を駆使し、丁寧に解説しています。このような本は、当時は世界的にも例がなく、
日本人の機械工学における先進性を証明しているとも言えます。」

http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/history08.html
 細かいツッコミを入れると、『機巧図彙』の前にも『キ訓蒙鑑草』(多賀谷環中仙・享保15年(1730))という本があります。(キは「王幾」という外字)ただ、『機巧図彙』に比べると、内容はかなり劣っているようです。
 記載されたカラクリの内容について色々と論じたいところですが、
 ご想像通り、その手の知識が私には全くありません。堪忍して下さい。
 「からくり人形の構造についてもっと知りたい!」と仰る方は、『江戸科学古典叢書 3』(恒和出版)で、「機巧図彙」と「キ訓蒙鑑草」の全編を見ることができます。普通の本屋では多分売ってないですが。
 あと、理系脳をお持ちの方は、こちらのサイトさんなど如何でしょうか。
『からくりを作ろう研究会』<http://www.karakurijuku.org/index.html

 話は『機巧図彙』から離れますが、某百貨店の歳事会場で、ピエロ・エクリヴァンを生で見た時の感動は忘れられません。
 どれだけ科学技術が進んでも、からくり人形が与えてくれる感動は色あせないもんです。
 凄く良いことを言った気がします。今。

 西村真琴が作った【学天則】の話もしたかったんですが、またいつか。(資料探し中につき)