【雑感:其の22 ドレスデン国立美術館展と無駄】

2005年5月25

 今週末、学会で東京まで行く羽目になりました。
 大阪(夜行バス)〜東京(到着午前6時頃)。そしてその日の内に、大阪へとんぼ返り。新幹線を使いたかったのですが、いかんせん懐具合がツンドラ気候で、どうしようもありません。
 しかも車の事故以来、30分以上車に乗るのは初めてときたもんだ。車に乗っていると、手が震えるんです。そこを、いきなり8時間のバスで荒療治。なんてチャレンジブル。
 人生は、石橋を戦斧で叩き割るようにして進むことも……時には必要かと思ったり思わなかったり。

 戦斧で思い出しました。
 数週間前の話になりますが、兵庫県立美術館で開催されていた ドレスデン国立美術館展−世界の鏡】 へ行ってきました。
 公式サイトはこちら

 会期が終わった後で言うのもなんですが、良かったです。眼福の極み。
 レンブラント《ガニュメデスの誘拐》と、フェルメール《窓辺で手紙を読む若い女》が目玉として来てましたが、そんなもんはこの際よろしい。
 科学・計測機器類と、武器甲冑類。これです。
 優美な巻蔓紋様が施された《戦槌》や棍棒、斧。無駄に装飾が多いオスマントルコ製の僅かに反り返った刀剣など、血圧が上がりました。
 ギャラリースコープでひとつひとつ覗いていったんですが……実に良いですね。この偏執狂なまでの装飾癖。東洋の水墨画に見られるような白い空間、我々が「間」と呼ぶものがあったら、これを作ったマイスター達は「白い、白すぎる! ああ、埋めたい!」と発狂してしまうんじゃないでしょうか。
 無駄と実用の境界線を行き来しているような作品に、仕事人の真骨頂を見た気がしました。

 ちなみに、開催された兵庫県立美術館も、凄まじいです。
兵庫県立美術館外観
 でかいです。遠くから見て、遠近感狂うほどでかいです。
 安藤忠雄デザインらしいのですが、四角い外観は、まるでゲームの世界に出てくる神殿のようです。
 そして、内部のそこここには、無駄空間が散らばっています。入り口(エントランスゲート)の吹き抜けなどは、空間が広すぎて不安になります。

 人間に必要な物。
 少しのパンと水、そして無駄。