【珍事:其の2 『のぞきからくり』】

2004-10-11

 大阪・四天王寺で開催されている、四天王寺べんてんさん青空大古本祭」(覚えられません)で、
 のぞきからくりが実演されてました。
 
 見世物文化の探求者(自称)としては、行くしかありません。
 ちなみに、この【のぞきからくり】、現在活動しているのは、長崎の「深江町のぞき文化財保存会」さんところしかないので、けっこう貴重だと思います。
 保存会の皆さんの年齢を考慮するに、まさしくレッドデータ入り確定文化です。
 能狂言文楽など、国が文化と認めている芸能の裏で、こういう市井の文化は、どんどん音も立てずに滅んでいきますから。
 新たな文化が出てくる中、何から何まで保護しろ、守り伝えて行け、というのは無理なので。せめてと言いますか…、機会があれば、なるべく見に行くようにしています。

 で、【のぞきからくり】がどういうものなのか、ざっと説明しますと、
 【のぞきからくり】は、元禄時代に始まり、戦後も寺社の縁日などでよく行われていた、街頭見世物のひとつです。
 屋台の下部の、のぞき穴(なんてフェティシズム掻き立てられる用語なんでしょうか)からのぞくと、屋台の奥の絵が、次々変わっていき、紙芝居のように物語が進んでいきます。
 屋台の左右に男女一組が立ち、鞭や棒で拍子をとりながら、「からくり節」と呼ばれる節回しで、物語を語って行くわけです。
 演目は、石道丸や俊徳丸などの仏教説話関係や、戦争の美談なんかが多かったようです。(『人形からくり』立川昭二・日本ブリタニカ参照)

 私が【のぞきからくり】を観るのは、今回で2度目になります。
 前回は、なぜか某鉄道会社の百貨店、催事会場で観ました。
 その時は『地獄極楽』という、とってもヘヴィな演目でした。 
 高級百貨店のフロア中に、朗々と『地蔵和讃』が流れる光景は、もう二度とお目にかかれないでしょう。
 今回観た演目は、悲恋物『不如帰』でした。
 雰囲気くらいしか分かりませんが→ 【のぞきからくり『不如帰』】(実演・動画30秒)RealPrayer10

 話は変わりますが。古本市では知人を数人見かけました。
 目が合った瞬間、まず、買った本を隠しましたね。みんな。

【ちなみに、今回の戦利品】
・『新古今和歌集』(日本古典文学大系小学館:700円)
・『天台本覚論』(日本思想大系・岩波書店:2000円)
・『ものと人間の文化史 からくり』(立川昭二法政大学出版局:700円)

 帰りの電車代が無くなって、定期券が効く駅まで歩くハメになりました。