珍事:其の1 『奈良豆比古神社 翁舞』】
2004-10-09
風雨吹きすさぶ中、昨晩は奈良まで行って来ました。
夜。しかも大雨とあって、鹿の一匹もいやしません。
いや、鹿と戯れるために行ったわけじゃないんですがね。
奈良豆比古(ならづひこ)神社で行われる、国・県指定の重要無形文化財、『翁舞』(おきなまい)を観るためです。
ここの翁舞は、とても古い形を留めており、能『翁』の原型を今に伝えていると言われています。
『翁』は、能楽発生以前から行われていた神事が、能に取り込まれたものです。
これは神に捧げる舞であり、他の能曲とは格が違うものとされています。
ちなみに未だに謎が多く、翁に関する研究は江戸時代から現在に至るまで続いております。嫌になるほど研究書も出ています。
で、奈良豆比古神社の『翁舞』に話を戻します。
翁舞で使用されている翁と黒式尉の面は、室町時代制作のもので、普段は奈良国立博物館に入っている文化財だそうです。
『翁舞』は、【式三番】(しきさんばん)という形式で進行します。
(1)前謡→(2)千歳の舞→(3)太夫の舞→(4)太夫と脇2人の3人舞→(5)三番叟の前舞→(6)千歳と三番叟の問答→(7)三番叟の後舞
という、大きく分けて3つのパートで進んでいきます。(…と、文字で書いてもよくわからんですな)
この翁舞で最も注目されている箇所は、(6)の千歳と三番叟の問答です。
三番叟が話しかけると、千歳は前を向き、千歳が話しかけると、三番叟が前を向く。
互いに向かい合うことのない問答は、「神へ語りかける」という形式をとっており、「翁舞」の古い形態を残しているとされています。
…って言っても、やっぱりよく分からないので、動画を用意してみました。
翁舞(千歳と三番叟の問答)
ちなみに、デジカメのオマケ動画機能なので、30秒しか連続撮影できませんでした。