【雑感:其の16 飛田『鯛よし百番』で壮行会】

2005-03-27

 大学院の「修了生壮行会」に出席してきました。
 まぁ壮行会とは名ばかりで、教授と学生が何十人も集まって、飲んだくれるだけの会です。


 今回の壮行会は、かの有名な大阪・飛田にある「鯛よし百番」で行われました。
 私は以前、友人達と行ったことがあり、多少はどんな所か知っていたので、壮行会の案内状が来た時は、正直、「大丈夫なのかな?」と思いました。
 危機感というか、あまりにも物見遊山的な感じがしたので、少し不安に。

 基礎知識として書いておくと、
 大阪の「飛田(とびた)」という地区は、旧遊郭・旧赤線地帯があった場所で、今でも特殊な風俗街(表向き「料亭」、その実「チョンの間」と呼ばれるもの)が並んでいる。
 壮行会が開催された『鯛よし百番』は、まさにその、大正時代の遊郭建築が、そのまま一般人向けの宴会場になっているのです。 

 また、飛田新地の隣には、日本最大の日雇い労働者街、「カマ(釜ヶ崎)」もしくは「あいりん」と呼ばれる釜ヶ崎地区があり、ドヤ(一泊1500円〜2000円の安宿)が立ち並んでいる……不適切な言葉だと思いますが、ここら一帯は、日本でも特殊な地域なのだと思います。
 飛田や釜ヶ崎には、長い歴史の変遷や、国・地方自治体、個人個人の問題が複雑に絡まっており、一概に「ここはこういう地域だから」と断定することは難しいです。
 少なくとも、ふざけ半分の集団で行ったり、女性だけで行く場所ではないと思います。
(今回は30人程度で行ったんですが、あまり褒められた客ではなかったと思います)

 「鯛よし百番」は一般人向けの料理屋なのですが、ここら一帯では、「鯛よし百番」の方が異端で浮いている感じですね。
 ちなみに、3月22日、朝日新聞の関西版(※)に「鯛よし百番」が紹介され、今は予約がなかなか取れない状況になっているらしいです。

※…「asahi.com 飛田新地
http://www.asahi.com/kansai/fuukei/OSK200503220021.html

 このように色々とありますが、『鯛よし百番』には、大正初期の遊郭がそのまま残っているので、外観も中も大変面白い。
 外観は、そうですね。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』に出てくる湯屋に似ています。(写真参照)
 玄関口から入ると、何故か建物の中に「日光東照宮」や鳥居、真っ赤な太鼓橋が設えてあります。
 1階は比較的大きな宴会場がいくつかあり、2階には、ひとつひとつ表札のかかった個室がいくつも連なっています。
 店の人の話によると、2階は、それぞれの個室が「一軒の家」、部屋の前の廊下は「道」に見立てられて建てられているとのこと。
 部屋毎に玄関口があり、廊下には石の道標まで立っています。こういう趣向は、本当に面白いですね。 
 食事は鍋コース、1人前3千円と値段も良心的。(飲み物は別料金)

 ちなみに、宴会が終わった後、教授と生徒が数人どこかへ消えてしまいました。
 さて、このネタをどう使うかな。
 (強請り屋かと)

【参考webサイト】
ぐるなび 鯛よし百番」
http://r.gnavi.co.jp/k069800/
「華月楼別館 古建築 鯛よし百番」
http://kagetsurou.sub.jp/tobita1.html
http://kagetsurou.sub.jp/tobita2.html
「第XXVI章 遊廓篇」
http://chambre.hp.infoseek.co.jp/galerie/otherarea/yukaku/redlight1-1.htm
「西成通信」
http://k1942.hp.infoseek.co.jp/nishinaritsuushin/nishinari.html
「野宿者ネットワーク」
http://www1.odn.ne.jp/~cex38710/network.htm