【雑感:其の11 『嶋田久作の絶唱』】

2005-01-28

 ええ、もう、びっくりしました。ホント。
 久作ですよ、久作。嶋田久作
 略して、シマQ。
 最近、Apeos(アペオスby富士ゼロックス)のCMで、黒光りする笑顔を惜しげもなく晒してやがると思ってたら! 思っていたら!
 
 家でチャンコ鍋など突きながら、音楽番組を見ていたんですよ。ええ、あの何とかいうヤツです。泣きキャラの徳光和夫が出てる……そうそう。『速報、歌の大辞テン!!』とかいう番組です。
 少々沈鬱な出来事があり、通夜のような鍋だったんですが。とりあえず場を刺激せず、無難に流せる番組がこれしかなかったというていたらく。
 今日のゲストはあべ静江友近かあ。YUKIのバックバンドの服装、まるでインテル社のバニー・スーツ※1だなあ。今日の鍋も味が薄いなあ。ああ、うどんが無いからって、代用にインスタントの『渡る世間は鬼ばかり 幸楽ラーメン』を使うのはどうかと思うんだけど、お母さん。うわあ、のびる、溶ける、ああ、だから、食べ終わる前に次を入れないで。……ああそう、頑張って場を盛り上げてるのは私だけですか、そうですか、そうなんですか。勝手に食え。もう知らん。
 などと、私はその時、忘我の境地にあったんです。
 そんな折りも折り、映画『tokyo tower』のテーマソングになっている山下達郎の『FOREVER MINE』が流れてくるじゃありませんか。
 しかも、見ると何やら、ごついオッサンが歌っている。
 山下達郎と言えば、自分のPVに出演しないことで有名ですが、以前、どこかの芸能番組で暴露されてました。
「本人出演のPVは、作られているんです。でも、いつも制作サイドからマッタがかかって、お蔵入りになるんです」
 この芸能リポーターの話が、どこまで信憑性あるかは不明です。でも、もし本当なら、心に残る映像が見られるかもしれない。これを見逃す手はないと、TVの近くへ寄って行ったわけです。

 違うとすぐ気づきました。
 顎が、顎が、長すぎるんです。
 顎の長い浮浪者が、冬のベンチに座り、ピアノの弾き真似しながら『FOREVER MINE』を絶唱しているんです。
 その時、画面の隅に小さくテロップが出ました。
 ……嶋田久作

 その姿は、帝都破壊に失敗した加藤保憲※2が行き暮れて、何をトチ狂ったのか、ラブソング歌っているようにしか見えませんでした。

 感動さめやらぬまま、このPVについて調べたところ「めざましテレビ」のログが引っかかりました。
山下達郎の新曲「FOREVER MINE」のプロモーションビデオがめざましテレビに届いた。内容は嶋田久作演じるある男が自分の死の直前に昔愛した女性を思い出すという幻想的なものとなっている。 >
 凄い内容です。ぜひとも、全部通して拝見したいものです。

 それにしても嶋田久作、最近、感情を見せる役柄多いですね。
 個人的に嶋田久作の真骨頂は、「無表情→いきなり壊れる(感情を出す)」だと思いますので、アペオスのCMは、もう少しタメが欲しかったです。
 けっこう古いCMなので覚えている人は少ないかもしれませんが、嶋田久作の魅力を一番引き出したのは、何と言ってもアサヒフードアンドヘルスケア(株)の携帯栄養食「バランスアップ」のCMだったと思います。 
 嶋田久作が、小さな粒クッキーを無表情のまま咀嚼し続け、最後の最後でたった一言、
 「栄養」
 と、ドスの効いた声で呟くだけのCMでした。
 なんとも素晴らしい。
 めくるめく嶋田久作の世界。

※1「バニー・スーツ」インテル社のクリーンルームで働く人が着用しているスーツ。外から見るとまるで宇宙人。一般的に思い浮かぶ、露出度の高い「バニースーツ」とは対極に位置する。

※2「加藤保憲荒俣宏原作『帝都物語』の主要キャラ。帝都破壊を目論む怪人。実写版で嶋田久作が演じたところ、あまりにもハマリ役だったため、荒俣宏が原作の単行本化に際して、加藤の外見について嶋田久作に似せた描写を書き加えたほどだとか。→はてなダイアリー嶋田久作 

<参考サイト>
「嶋田久作にメロメロ」
プロフィールのページは必見。嶋田久作、俳優になる前は、大学生協でレジ打ちをしていたみたいですね。
スタジオシノハラ「作品紹介」ページに嶋田久作の写真が……失礼極まりないですが、笑えました。